レコード演奏・伝達権 新設へ——文化庁、2026通常国会提出視野で著作権法改正検討、商業BGM二次利用に実演家・レコード製作者の報酬請求権を整備
- 5 日前
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文化庁は、商業用レコードを店舗BGM等で再生する行為に対して、レコード製作者と実演家(歌手・演奏家)に新たな報酬請求権「レコード演奏・伝達権」を付与する著作権法改正を、2026年通常国会への提出を視野に検討を進めている。OECD加盟38か国中36か国を含む世界142の国・地域で既に導入されている国際標準制度を、日本が約30年遅れで整備する動きとなる。
現行法上、店舗・カフェ・レストラン等で市販CDをBGMとして再生する場合、JASRACに使用料を支払うことで作詞家・作曲家(著作権者)には報酬が分配される。一方、実際に演奏した実演家とレコード製作者には1円も渡らない仕組みが続いており、ライブ・配信・放送と比較して二次利用領域に大きな歪みが残っていた。今回の改正案は、この空白を埋める制度設計となる。
政策的位置付けとして、本改正は「コンテンツ海外展開支援」「クリエイター経済の収益基盤強化」と一体で検討されている。海外売上20兆円目標(高市政権)と整合させる形で、国内クリエイターの収益チャネルを多層化する一環として進められており、フィジカル販売減少時代における実演家収入の補完路線として位置付けられている。実演家団体・レコード会社団体は導入を歓迎する一方、商業施設・飲食店業界からは反発も報じられている。
音楽業界への意味として、最も大きな影響を受けるのは中小レーベル・独立アーティスト・スタジオミュージシャン層である。大手レーベル所属アーティストは既に複数チャネルで収益を多層化しているが、中小・独立領域はBGM領域の収益化が新たな安定基盤となり得る。徴収・分配スキームの設計次第では、実演家団体経由での新収入チャネルが立ち上がる可能性がある。
業界視点として、徴収主体・分配ルール・対象施設範囲・既存契約との整合の4点が今後の設計論点となる。日本BGM協会・JASRAC・芸団協(CPRA)等の権利処理団体間の役割分担と、商業施設側の負担増を巡る合意形成が、改正法案の具体性を左右する。パブリックコメント募集が既に行われており、業界各層の意見集約フェーズに入っている。
ZEN編集部視点として、本改正は独立アーティスト・中小レーベル領域にとって長期的にプラスに働く制度変化と読み解ける。特にCREATIVE LAB登録アーティストにとっては、リリース後の楽曲が店舗BGMとして使用される際の新収益チャネルが整備される意義は大きい。徴収・分配スキームの実装を見据え、自身の楽曲権利処理の整理(原盤権・実演家権の所属確認)を済ませておく実務準備が、今後の収益機会を最大化する基盤となる。
出典: 日本経済新聞「BGMに『演奏家の権利』新設へ 使用料徴収、飲食店など反発も」/ 共同通信(Yahoo!ニュース)「BGM使用料、歌手にも 活動支援へ文化庁方針」/ 岡山市箱守法律事務所「『演奏家の権利』新設の検討(レコード演奏・伝達権)」/ メディア法律情報「『レコード演奏・伝達権』の創設に向けて」



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