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文化庁『レコード演奏・伝達権』新設検討と2026年通常国会改正案——日本人アーティスト海外BGM収益化と国内飲食店反発が交差する権利制度更新の構造

  • 5月25日
  • 読了時間: 3分

文化庁がレコード会社・歌手・演奏家に新たな権利「レコード演奏・伝達権」を付与する議論を開始した。2025年8月設置の小委員会で年内に方向性を固め、早ければ2026年通常国会に著作権法改正案を提出する予定。実現すれば、商業用レコード(CD等)を飲食店・小売店等でBGMとして使用する行為に対して、店舗側から使用料を徴収し演奏家・レコード会社に分配する制度が新設される。日本人アーティストの海外BGM収益化との接続を含む業界構造変化を整理する。

施策概要として、現行の著作権法では商業用レコードのBGM使用に対して作詞作曲者(著作権者)への使用料徴収はJASRAC等を通じて行われているが、演奏家・実演家・レコード会社(著作隣接権者)への報酬請求権は限定的な範囲でしか認められていない。新設される「レコード演奏・伝達権」は、この空白を埋め、実演家・レコード会社にも公平に対価が分配される構造への移行を目指す制度設計となっている。

政策的位置付けとして、本制度の主な狙いの一つは日本人アーティストの海外進出インセンティブの強化だ。日本の音楽は海外で広く聴取されているが、現在の日本にレコード演奏・伝達権がないため、相互主義の下で海外からBGM使用料を徴収できない構造が長年指摘されてきた。本権利の新設は、日本側の制度をWIPO実演家・レコード製作者条約(WPPT)で求められる国際標準に整合させる方向の動きとして位置付けられる。

音楽業界への意味として、(1)レコード会社・演奏家・歌手にとっては新たな収益源の発生、(2)海外BGM使用料の相互徴収開始による日本人アーティストへの海外収益還流、(3)JASRAC・NexTone等の管理事業者と新たな管理団体の役割分担、(4)飲食店・小売店等の利用者側のコスト増などが構造的論点となる。Sync Licensing市場の拡大とあわせて、楽曲の「使用権」を多層的に収益化する枠組みが整備される転換点となる可能性が高い。

業界視点として、飲食店業界などからは「BGMコストの追加負担」への反発も既に表明されており、新権利の徴収料金水準・対象施設範囲・徴収方法の制度設計が議論の中心となる。文化庁は年内の小委員会で具体的設計を固める予定で、2026年通常国会に向けた業界横断的なロビイング・パブコメ等のプロセスが並行する局面となる。

ZEN編集部視点として、本制度は日本のインディーズ・クリエイターにとっても重要な収益構造変化を意味する。配信代行(TuneCore / The Orchard Japan等)・著作権管理(JASRAC / NexTone)・Sync Licensing に加えて、「BGM使用料」が新たな収益軸として加わる可能性があり、所属するレコード会社・原盤管理体制の選択軸にも影響が及ぶ可能性がある。CREATIVE LAB 登録アーティストの権利管理戦略でも、本制度の動向は継続的に注視すべき業界アジェンダとして位置付けられる。

出典: 日本経済新聞 / 文化庁 文化審議会著作権分科会 政策小委員会 / 箱守法律事務所

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